トークン化預金「DCJPY」の安定稼働と安全性を支える技術
目次
※本記事は、過去に公開した記事(旧ディーカレットDCP公式note)の内容を、現在の状況に合わせて見直し、再構成したものです。
トークン化預金を、安心して使える金融インフラに
トークン化預金は、企業の経済活動や日々の消費行動を支える、新たなデジタルマネーの仕組みです。そのため、価値が安定していることはもちろん、いつでも安全に利用できることが欠かせません。
実際にサービスとして提供するには、アクセスの集中による処理の遅延、災害によるシステム障害、サイバー攻撃など、さまざまなリスクに備える必要があります。トークン化預金「DCJPY」の送金・決済を支えるプラットフォーム「DCP」では、こうした課題に対応するため、安定性・拡張性・セキュリティを重視したシステムを構築しています。本記事では、DCPの全体構成をはじめ、安定稼働を支える仕組み、セキュリティ・BCP対策について説明します。
1. 共通機能と個別機能を組み合わせたシステム構成
DCPは、企業や個人が取引を行う「ビジネスゾーン」と、銀行が金融機能を担う「フィナンシャルゾーン」からなる、二層構造のプラットフォームです。 システムは、大きく次の2つで構成されています。
■Core Package
プラットフォームを運営するうえで共通して必要となる機能をまとめたパッケージです。
- マイクロサービスによる柔軟な連携
サービス管理やデータ管理といった一つひとつの機能を独立した「マイクロサービス」として構成し、APIを通じて連携させています。これにより、機能ごとの迅速な改修や柔軟な拡張を可能にしています。
- プラットフォームの統合管理
システム全体の運用管理、ブロックチェーンで使用する暗号鍵の管理、ブロックチェーン間の通信管理(IBC)などに必要な機能を提供します。
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■BPM(Business Process Management)
個別の業務要件や外部システムとの連携方式差分を取り込むための機能群です。
- カスタマイズ性の確保
事業者がアカウントやDCJPYの残高管理方法を自社のサービスに合わせて最適化したり、銀行が既存の勘定系などの金融システムとDCPを安全に接続したりする際に活用します。
設計のポイント:共通機能を担う「Core Package」と、個別の要件に対応する「BPM」を組み合わせることで、プラットフォーム全体の安全性を高く維持しながら、接続する各社の業務に合わせた柔軟な運用を可能にしています。
2. アクセスが集中しても、処理能力を自動で拡張
トークン化預金を日常的な決済や企業間取引に社会実装するためには、多くのアクセスが集中した場合でも、遅延なく安定して処理を続けられる仕組みが必要です。
DCPは、機能を小さな単位に分けて管理するマイクロサービスアーキテクチャを活用し、「コンテナオーケストレーション」と「イベント駆動型コンピューティング」を組み合わせています。これにより、システムの負荷に応じて必要な処理能力を自動的に増減させる仕組みを構築しています。
特定のサービスにアクセスが集中すると、システムが負荷の上昇を検知し、処理を担う環境とコンピュータリソースを自動で追加します。アクセスが落ち着けば、必要な規模に戻します。人の手による対応を待つことなく、アクセス集中によるパフォーマンスの低下やシステムエラーを防ぎ、安定したサービス提供を支えています。
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3. 多層的なセキュリティと災害に備えたBCP対策
トークン化預金を安心して社会に普及させるためには、システムの安定稼働に加え、情報の機密性の確保や徹底した災害対策が不可欠です。
■ 金融機関水準のセキュリティ体制
DCPでは、金融機関のシステム構築においてデファクトスタンダードとなっている「FISC安全対策基準」をベースに、厳格なセキュリティ対策を講じています。
- 運用の徹底
通信データの暗号化、徹底したシステムアクセス管理、設備設置場所への厳重な入退室管理などを実施。 - 多層防御の採用
外部からの不正アクセスやサイバー攻撃に備え、ファイアウォールや侵入検知(IDS/IPS)など、複数の防御機能を組み合わせています。一つの対策に依存しない重ね掛けの仕組みにより、ネットワーク全体の安全性を高めています。
■ 災害や障害に備えたBCP
大規模な災害が発生した場合にも、取引や決済への影響を最小限に抑え、サービスを継続できる体制を整えています。
- 地理的冗長化
物理的に離れた国内2か所のリージョンに、複数のデータセンターを構築。センター間は専用の高速回線で相互に通信・同期しています。
- 迅速な復旧
バックアップ環境にもリアルタイムで同じデータを保管しています。万が一、一方の拠点で大規模な障害が発生した場合にも、バックアップデータを利用して速やかにシステム基盤を再構築できます。
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4. 二層構造と法的な枠組みによる、誰もが使える仕組み
最後に、DCPがどのようにして銀行預金としての信頼性と、ビジネスでの使いやすさを両立しているのか、その法的・技術的アプローチを解説します。
■ 取引と預金の移動をスマートに連動
DCPでは、ビジネスゾーンで行われた商品やサービスの取引情報が、即座にフィナンシャルゾーンへと連携されます。
- ビジネスゾーン: 取引に応じて、資金移動に必要な「情報(決済指示)」を伝える役割。
- フィナンシャルゾーン: 銀行が実際の「資金移動(預金の移動)」を担う役割。
この二層構造により、銀行預金としての高い法的信頼性を保ちながら、多様な事業者のサービスとプログラマブルに連携する柔軟性を実現しています。
■ 特許技術と「電子決済等代行業」の活用
預金口座から資金を移動するための指図を銀行へ伝達する行為は、銀行法上の「電子決済等代行業者(電代業)」としてのライセンスが必要となります。
当社は、銀行法に基づく電子決済等代行業者として正式に登録を受けています。 さらに、2022年11月には、事業者がこの仕組みを容易に利用できるようにするための特許技術を取得しました。
特許第7169420号:「二層構造デジタル通貨の価値移転システム」 この特許技術と、当社の電子決済等代行業の枠組みを組み合わせることで、一般の事業者様は個別の複雑な金融許認可を取得することなく、自社のサービスや取引に「DCJPY」を組み込み、安全で高度な取引の仕組み(ビジネスゾーン)を構築することが可能になります。
信頼性と柔軟性を備えた、次世代の金融インフラへ
DCPは、システムの安定性・拡張性・セキュリティ、そして法制度との整合性を高い次元で融合させた、信頼できる金融プラットフォームです。
銀行預金としての揺るぎない信頼性を維持しながら、デジタル取引に求められる柔軟性やプログラマビリティを取り入れることで、企業や金融機関のさまざまなサービスと決済をシームレスにつなぎます。今後も、安全で持続可能なプラットフォームの運営と機能の高度化を進め、トークン化預金を活用した新たな金融・ビジネスのインフラづくりを支えてまいります。

