2026年08月27日
トークン化預金
ユースケース

【前編】プロスポーツで注目の「ファントークン」とは?トークン化預金で変わる応援のかたち

【編集部注】: 本記事は、過去に公開した記事(旧ディーカレットDCP公式note)の内容を、現在の状況に合わせて見直し、再構成したものです。

スポーツクラブを応援する方法は、試合観戦やグッズ購入、ファンクラブへの入会だけではありません。近年では、ブロックチェーン技術を活用した「ファントークン」を通じて、ファンがクラブの企画やコミュニティ活動に参加する取り組みが広がっており、ファントークンは、クラブとファンとの継続的な接点をつくるだけでなく、応援や貢献を可視化し、新たな体験や価値につなげる仕組みとしても注目されています。

本記事では、ファントークンの基本的な仕組みや、ファンとスポーツクラブ双方にもたらすメリット、利用時の留意点、国内クラブの事例をご紹介します。さらに、トークン化預金との連携によって、ファントークンを活用したコミュニティがどのように発展する可能性があるのかを考えます。

1. ファントークンとは

ファントークンとは、スポーツクラブやチーム、アーティストなどが、ファンとの継続的な関係づくりに活用するデジタル上のトークンの総称です。
多くの場合、ブロックチェーン技術を用いて発行・管理され、保有者には、次のような権利や体験が提供されます。

  • 限定コミュニティへの参加
  • クラブが実施する投票企画への参加
  • 限定イベントやグッズへの応援
  • 応援やコミュニティ活動の履歴を記録するデジタルアイテムの保有

デジタルなファンクラブ会員証に近い機能を持つものもあれば、ファンによる応援やコミュニティへの参加履歴を可視化する仕組みとして活用されるものもあります。

ファントークンの仕組みは一様ではない

一口に「ファントークン」といっても、その仕組みや利用方法はサービスによって異なります。代表的な仕組みとしては、次のようなものがあります。

代表的な仕組み 主な特徴
暗号資産として発行されるもの 暗号資産取引所などで売買され、市場の需給によって価格が変動する
プラットフォーム内で利用されるコミュニティトークン 投票や限定企画への参加などに利用される。サービス内で売買できるものや、価格が変動するものもある
NFT*を活用したもの デジタル会員証や参加証明として利用され、活動履歴などに応じて表示や特典が変化する場合がある

*NFT(Non-Fungible Token):ブロックチェーン上で発行され、唯一無二性を証明することができ代替が不可能なトークンのことを指します。

これらの分類は明確に分かれているとは限らず、コミュニティトークンとNFTを組み合わせたサービスなどもあります。
購入方法や価格変動の有無、譲渡・売却の可否、保有者に付与される権利はそれぞれ異なるため、利用する際には各サービスの仕組みを確認することが重要です。

2. スポーツ分野で活用が広がる背景

プロスポーツクラブにとって、ファンとの接点は試合開催日だけに限られません。
一方で、従来のファン活動は、試合観戦やグッズ購入など、試合日を中心としたものになりやすい側面がありました。コロナ禍を経て、スタジアムへの来場に依存せず、オンライン上でもファンと日常的・継続的につながる仕組みの重要性が高まりました。

こうしたなか、投票やデジタルコンテンツ、コミュニティ活動などを通じて、試合日以外にもファンがクラブへ関われる仕組みとして、ファントークンが活用されるようになりました。従来の応援方法を置き換えるものではなく、試合観戦やグッズ購入に加えて、ファンがクラブの企画やコミュニティ活動に参加する、新たな選択肢が生まれたといえます。

2021年に国内プロスポーツチームとして先駆けてクラブトークンを発行した湘南ベルマーレの取り組みでも、スタジアムへ足を運ぶことが難しい状況において、オンライン上でサポーターの応援をチームへ届ける参加型の企画が掲げられていました。
現在では、資金調達の手段にとどまらず、クラブとファンが継続的に交流し、ともに企画や体験をつくるための基盤としても、ファントークンの活用が広がっています。

3. ファントークンがもたらすメリット

ファントークンは、ファンとスポーツクラブの双方に新たな価値をもたらします。

ファンにとってのメリット

ファンにとっての大きなメリットは、応援するクラブと、これまで以上に多様な形で関われることです。

  • クラブが実施する企画への参加

ファントークンを保有することで、ユニフォームやスタジアム演出、イベント、グッズなどに関する投票やアンケートへ参加できる場合があります。投票への参加は、必ずしもクラブ経営上の意思決定権を意味するものではありませんが、自分の意見をクラブへ届ける機会になります。

  • 新たな応援体験

これまでの「観戦する」「グッズを購入する」という応援に加えて、クラブの企画やコミュニティ活動に参加するという、新たな応援体験が生まれます。NFTなどを活用したサービスでは、応援や参加の履歴をデジタルアイテムとして保有したり、活動内容に応じてステータスや特典が変化したりする仕組みもあります。

  • 居住地にかかわらず参加しやすい

オンライン上のコミュニティであれば、スタジアムから離れた場所に住むファンや、試合へ頻繁に足を運ぶことが難しいファンも、継続的にクラブの活動へ参加できます。



スポーツクラブにとってのメリット

クラブにとっては、試合日以外にもファンとの接点を構築できることが大きなメリットです。

  • ファンとの継続的な接点

投票、限定コンテンツ、オンラインイベントなどを通じて、シーズンオフやアウェイゲームの期間中もファンとの交流を続けられます。ファンの関心や参加状況を踏まえ、より関心に合った企画や体験を検討することも可能になります。

  • 収益機会の多様化

トークンの販売を伴うモデルでは、販売収益をクラブ運営、選手育成、イベント、地域活動などに活用できる場合があります。湘南ベルマーレは、2021年1月に国内プロスポーツチームとして初めてクラブトークンを発行し、初回販売で500万円を超えるファンディングを達成しました。チケット、グッズ、スポンサー収入などに加わる、新たな収益機会の一つとして期待されています。

  • 地域やスポンサー企業との連携

地域の店舗やスポンサー企業とトークンの特典や企画を連携させることで、クラブを中心にファン、企業、地域をつなぐ取り組みへ発展する可能性があります。

4. 利用する際に知っておきたいこと

ファントークンを購入・利用する際には、名称や話題性だけで判断せず、それぞれの仕組みや利用条件を確認することが重要です。特に、次の点に留意する必要があります。

①決済に用いる暗号資産の価格変動

一部の海外プラットフォームでは、ファントークンを購入するために、特定の暗号資産を取得・利用する仕組みが採用されています。購入までの間に暗号資産の価格が変動する可能性があるほか、暗号資産に不慣れなファンにとっては、口座の開設や購入手続きが心理的なハードルになる場合があります。

②ファントークン自体の価格変動

取引所やマーケットプレイスなどで売買できるファントークンは、市場の需給やクラブを取り巻く状況などによって価格が変動します。決済手段に日本円や価値の安定した資産を利用した場合でも、購入したファントークン自体の価格変動リスクがなくなるわけではありません。

③譲渡・売却の可否

ファントークンには、外部の取引所で売買できるもの、特定のプラットフォーム内でのみ売買できるもの、第三者へ譲渡できないものがあります。希望するタイミングや価格で売却できることが保証されているわけではありません。

④機能や利用条件の変更

プラットフォームの移行や運営方針の変更に伴い、投票、決済、特典などの機能が変更・終了する場合があります。FC琉球の「FCRコイン」では、プラットフォームの移行後も選手やクラブへのコイン送付機能などを提供する一方、以前提供していた投票機能や一部の決済機能は停止されています。

⑤付与される権利や特典の範囲

ファントークンによって参加できる投票や応募企画の対象、特典を受けるための条件は、サービスごとに異なります。また、投票への参加がクラブ経営上の意思決定権を意味するとは限らないため、権利の内容を事前に確認する必要があります。

ファントークンは、金銭的な利益を得ることだけを目的とするものではありません。クラブを継続的に応援し、その活動やコミュニティに参加するための仕組みとして捉えることが大切です。

<<後編へ続く>>

※本記事に掲載している各サービスの内容や利用条件は、各クラブおよびサービス提供事業者が公表している情報に基づくものです。最新の情報については、各クラブおよびサービス提供事業者の公式サイトをご確認ください。

掲載元:
https://note.decurret-dcp.com/n/n907619d57ccb
https://note.decurret-dcp.com/n/nbdedc5744954

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