2026年08月27日
トークン化預金
ユースケース

【後編】プロスポーツで注目の「ファントークン」とは?トークン化預金で変わる応援のかたち

【編集部注】: 本記事は、過去に公開した記事(旧ディーカレットDCP公式note)の内容を、現在の状況に合わせて見直し、再構成したものです。

前編では、ファントークンの基礎知識やスポーツ分野で活用が広がる背景、ファンとクラブ双方にもたらすメリット、そして購入・利用時の留意点について解説しました。
後編となる本記事では、国内プロスポーツクラブにおける実際の活用事例をご紹介するとともに、「トークン化預金」の活用によってファントークン決済やファンコミュニティがどのように進化していくのか、当社とガンバ大阪との取り組みを交えて詳しく解説します。

5. 国内におけるファントークンの事例

国内のプロスポーツ分野でも、クラブごとに異なる仕組みを取り入れたファントークンの活用が進められています。

①湘南ベルマーレ―参加型コミュニティの先駆け

湘南ベルマーレは2021年1月、トークン発行型コミュニティ「FiNANCiE」を活用し、国内プロスポーツチームとして初となるクラブトークンを発行し、初回販売では500万円を超えるファンディングを達成しました。
トークン保有者を対象に、ホームゲームと連動した企画や、地域の商店街に掲出するフラッグのデザインを決める投票などを実施。ファンとクラブがともに企画をつくる、参加型の取り組みを展開しました。
トークンの販売による支援と、コミュニティへの継続的な参加を組み合わせた、国内における先駆的な事例です。

②FC琉球―暗号資産を活用したデジタル上の応援

FC琉球は2022年、IEO*を通じて独自の暗号資産「FCRコイン」を発行・販売しました。
現在は「FCR COIN.」というプラットフォームを通じて、選手、監督、コーチ、クラブスタッフ、マスコットなどへFCRコインを送る応援機能を提供しています。ホームゲーム会場でコインを受け取れる企画や、保有するコインを使った抽選企画、一定数のコインを保有する人を対象とした制度なども展開されています。
ファンがクラブ全体を応援するだけでなく、応援したい選手やスタッフへ、デジタル上で直接気持ちを届けられる点が特徴です。

*IEO(Initial Exchange Offering):暗号資産プロジェクトが資金調達を行う際、暗号資産取引所が仲介・審査を行ってトークンを販売する仕組みのこと

③サガン鳥栖―NFTを活用した応援体験

サガン鳥栖は2022年、ブロックチェーンとNFTを活用したファントークンの提供を開始しました。
最大の特徴は、ファンの活動に応じてデザインやステータスが変化する「ダイナミックNFT」の採用です。専用アプリでアンケート回答やクラブ投票、Webサイト訪問などのミッションを達成するとステータスが上昇し、それに応じた特典を獲得できます。単なる保有にとどまらず、日々の応援やクラブへの参加をデジタル上で可視化する設計となっています。
現在も、ファンの熱量を特典に還元する企画や、地域店舗と連携した施策など、デジタルとリアルを繋ぐ試みを展開しています。

6. トークン化預金が広げるファントークン決済の可能性

一部の海外ファントークンプラットフォームでは、ファントークンを購入する際に暗号資産を介する仕組みが採用されています。
こうした仕組みでは、ファンはファントークンを購入する前に、暗号資産を取得・保有しなければならない場合があります。
暗号資産に不慣れなファンにとっては、購入方法の分かりにくさや価格変動への不安が、ファントークンを利用する際のハードルになることも考えられます。そこで、決済手段として活用が考えられるのが「トークン化預金」です。

ファンにとって期待されるメリット

トークン化預金でファントークンを購入できるようになれば、購入のために別の暗号資産を取得・保有する必要がなくなります。
決済に用いる暗号資産の価格変動を意識することなく、銀行預金との連続性を保った形で支払えるため、暗号資産に不慣れなファンにとっても利用しやすくなる可能性があります。購入手続きの負担や心理的なハードルが軽減されることで、これまでファントークンに関心を持ちながらも利用に至らなかったファンが、参加しやすくなることも考えられます。
ただし、売買可能なファントークンについては、決済手段にトークン化預金を用いた場合でも、ファントークン自体の価格が変動する可能性があります。

スポーツクラブにとって期待されるメリット

暗号資産でファントークンの代金を受け取る場合、クラブがその資金を円建ての費用に充てるためには、暗号資産を日本円などへ交換する必要が生じることがあります。交換の手続きには一定の時間やコストがかかるほか、暗号資産を保有している間に価格が変動する可能性もあります。

トークン化預金を決済に利用すれば、クラブは売上代金を円建ての銀行預金として受け取ることができるため、暗号資産を日本円へ交換する手続きや、その間の価格変動リスクを軽減できる可能性があります。また、トークン化預金プラットフォーム「DCP」では、外部のサービスやデータと決済を連動させることができます。

例えば、ファンによる購入やコミュニティ活動に応じたリワードの付与、チケットやグッズ購入との連動などを、あらかじめ設定した条件に基づいて自動化することも考えられます。実際の利用時間や資金の受け取り方法、利用できるサービスの範囲は、接続する金融機関や導入するサービスの設計によって異なります。

※本章で紹介している内容は、トークン化預金とファントークンを将来的に連携した場合に期待される可能性を整理したものです。現時点で、DCJPYによるファントークンの購入・決済を提供しているものではありません。

7.ガンバ大阪との取り組み―価値循環型ファンコミュニティの実証

当社は2026年3月、ガンバ大阪と、デジタル通貨技術とブロックチェーンを活用した「価値循環型ファンコミュニティ」の構築に向けた実証実験を開始しました。本実証では、ファン・サポーターによる応援やコミュニティへの参加を「貢献」として可視化し、その貢献に応じてデジタルアイテムや特別な体験などのリワードを提供する、共創型コミュニティモデルの有用性を検証しました。

【実証で実施した主な内容】

実証では、ブロックチェーン技術を用いたコミュニティサービスを通じて、ファン・サポーター参加型の投票企画などを実施しました。
主な内容は次のとおりです。

  • 活躍を期待する選手に関する投票
  • スタジアムグルメに関する投票
  • 公式コンテンツに関する投票
  • 応援コメントや意見をクラブへ届ける参加型の体験
  • 投票参加者へのデジタルアイテムの付与
  • 抽選による選手サイン入り試合球やユニフォームなどの提供

ファン・サポーターがクラブからサービスを受けるだけでなく、投票や意見を通じてクラブの活動へ参加し、その貢献に応じた体験やリワードを受け取る仕組みを検証する取り組みです。まずは投票やリワードを通じて、ファン・サポーターがコミュニティに参加し、自らの応援や貢献を実感できる仕組みの有用性を検証しました

【将来的なDCJPYとの連携】

今後は、トークン化預金プラットフォーム「DCP」との接続を通じて、金融機関が発行するトークン化預金「DCJPY」を活用した経済圏へ発展させる構想を公表しています。
将来の活用例として、次のような取り組みを検討しています。

  • コミュニティへの貢献に応じたDCJPYの付与
  • チケットやグッズ、スタジアム周辺店舗での利用
  • 推し選手への応援やアカデミー活動への支援
  • ファン・サポーターの活動履歴や貢献度の可視化
  • 個人や中小企業による小口スポンサー支援
  • チームの順位や試合結果に応じてインセンティブが変化する、ゲーム性を持ったファントークンの検討

ファントークンがファンの参加や貢献を表現する仕組みを担い、トークン化預金が決済やリワードを担うことで、コミュニティ内の活動と実際の価値の移転を連動させることができます。ファンによる応援や活動が可視化され、それに応じたリワードが付与される。受け取ったリワードをチケットやグッズ、地域の店舗などで利用し、その価値がクラブや地域へと還元される。こうした仕組みによって、クラブ、ファン、スポンサー企業、地域の店舗の間で価値が循環する、新たなコミュニティ経済圏へ発展する可能性があります。

ファントークンは、クラブが資金を調達するためだけの仕組みではありません。ファンの応援や活動を可視化し、クラブとの継続的な関係をつくるためのデジタルな基盤としても活用されています。そこにトークン化預金による決済やリワードの仕組みが加わることで、スポーツクラブとファン、スポンサー企業、地域をつなぐ仕組みの一つとして、さらなる活用が期待されます。

※本記事に掲載している各サービスの内容や利用条件は、各クラブおよびサービス提供事業者が公表している情報に基づくものです。最新の情報については、各クラブおよびサービス提供事業者の公式サイトをご確認ください。

掲載元:
https://note.decurret-dcp.com/n/n907619d57ccb
https://note.decurret-dcp.com/n/nbdedc5744954

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